地方に住んでいると必ず必要になるのが自動車です。
都市部のように交通機関が発達していないので、どこに行くにも車で移動することになります。
また、物流の観点から考えると毎日のように全国をトラックが移動しています。
『脱・炭素』とか『カーボンニュートラル』という言葉が盛んに使われるようになりましたが、まだまだガソリンは生活に必要な燃料であることは間違いありません。
ところが、現在はガソリンの価格が高騰を続けており地域によってはレギュラーガソリンが180円/ℓを超えようかという所もあるくらいです。
僕がよく使うスタンドは165円/ℓなので、もしかしたら安い方なのかなと思っていますが、いつまでもガソリン価格が高いままでは困ってしまいますよね。
ところで、最近ガソリンの高騰を抑える手段として『トリガー条項』という言葉がよく出てきますよね。
今回は、トリガー条項について書いてみたいと思います。
トリガー条項とは?
『トリガー』の和訳すると、引き金とか引き起こすという言葉になります。
ビジネス用語としても『トリガー』という言葉が使われることがありますが、この場合はきっかけという意味合いが強いかと思います。
『トリガー条項』とは『何かのきっかけが起こった時に発動するもの』ということです。
ガソリンにおけるトリガー条項は『3ヶ月連続でガソリン価格が160円/ℓを超えた場合に政府が揮発油税などを引き下げる特別措置』と定義されています。
2010年の租税特別措置法の改正に伴い設置された条項ですので、比較的新しいものなんですね。
尚、特別措置の結果、ガソリン価格が3ヶ月連続で130円/ℓを下回ると再び税金がかけられることになります。
ということは、現在のガソリン価格の高騰を受けてトリガー条項が発動されるはずなのですが、、、
東日本大震災による復興財源確保が困難になるとの理由で、現在はガソリンのトリガー条項は凍結されています。
したがって、トリガー条項発動によるガソリン価格の引き下げができない状況になっているのです。
ガソリン価格と税金
ガソリンにはたくさんの税金がかかっています。
販売価格には税金が加算されているわけですが、具体的にどのような税金がかけられているのでしょうか。
ガソリン税
ガソリンにはガソリン税という税金がかけられます。
ガソリン税の中身は『揮発油税と地方揮発油税』の2種類があるんです。
内訳を見ると、
揮発油税:48.6円
地方揮発油税:5.2円
合計:53.8円
※リッターあたりの税金です
つまり、ガソリン1ℓあたりに53.8円の税金がかかっているんです。
揮発油税(きはつゆぜい)は、揮発油税法(昭和32年4月6日法律第55号)に基づき、製造所から移出される又は保税地域から引き取られる揮発油に対して課される税金である。
地方揮発油税(ちほうきはつゆぜい)は、揮発油(ガソリン)に課し地方自治体に財源を譲与することを目的とす税金であり(地方揮発油税法1条)、地方贈与税と呼ばれる税の内の一つ。
引用元:Wikipedia
暫定税率って何?
トリガー条項の話でよく聞かれる言葉『暫定税率』
これって一体なんじゃらほい?
実は、現在53.8円のガソリン税は本来の税率に上乗せしてしています。この上乗せ分を暫定税率と言います。
具体的には、揮発油税48.6円のうち24.3円と、地方揮発油税5.2円のうち0.8円が暫定税率になります。
揮発油税の半分は暫定税率なんですね〜
『トリガー条項発動で25円はガソリン価格が下がる』と言ってる方が多い理由、それがこの暫定税率分を引き下げることを意味しています。
そもそもが1970年代の道路財源の不足の対応のために始まったのですが、それがいまだに続いていることになります。
税金はガソリン税だけじゃない
ガソリンの販売価格に含まれる税金はガソリン税だけではありません。
石油石炭税という税金が2.8円/ℓかかっていますし、消費税もかかっています。
これらを全て加えた価格がガソリンの販売価格となっていまして、例えば170円/ℓの場合の内訳は以下の通りです。
ガソリン税:53.8円
石油石炭税:2.8円
消費税:17円
本体価格:96.4円
合計:170円
ガソリン価格の約6割は税金だったんですね〜
税金をゼロにしてほしいとは言わないですけど、6割も税金支払うってのはちょっと納得いかないですよね。
トリガー条項が発動されて暫定税率がなくなれば145円/ℓになるわけですから、家計にかかる負担もだいぶ違います。
ガソリン価格が高くなっているのはなぜ?
そもそも、ここまでガソリン価格が高騰している理由は何なのでしょうか?
ガソリン高騰の理由を考えてみたいと思います。
需要と供給のバランスが崩れている
端的に言ってしまえばこれが1番大きな理由になります。
新型コロナの影響で日本でも自粛傾向が続いていますし、ロックダウン政策をとった国もいくつかあります。
その間、物流や車で動く人も減っていたこともありガソリンの需要が減っていました。
僕の記憶ではコロナが流行り始めたころから2021年の夏くらいまで、ガソリン価格はリッターあたり150円を切っていたと思います。
ところが、昨年の夏以降くらいから世界的に規制緩和が始まり、日本でもワクチン接種にともなって人の動きが活発になりつつあります。
これにより、これまで低需要だったガソリンが一気に高需要に変わってしまいました。
とは言え、産油国も簡単には供給を大幅に増やすこともできません。再びコロナが流行ってしまう可能性もありますし。。。
あとは、この機会に産油国がしっかりと儲けたいって意図もあるのかなと思います。
需要と供給のバランスの崩れがガソリン価格高騰の1番大きな理由です。
脱炭素やカーボンニュートラル
脱炭素やカーボンニュートラルの動きもガソリン高騰の理由に1つになっていると思います。
これらの動きははっきり言って『環境』を使った新しいビジネスの側面が強いんですよね。
地球に優しいとかエコ的な話とはちょっと違うような気がしています。(SDGsも同じ)
世界中で脱炭素の動きが活発になりつつある中で、化石燃料と言われている石油の増産を積極的に求めにくくなっている部分もあるのではないでしょうか。
また、産油国側からすると石油の価値を再認識してもらうチャンスにもなっていると思いますので、そう簡単に増産には踏み切ろうとしないのかもしれませんね。
ウクライナ情勢
現在のウクライナ情勢もガソリン価格高騰の原因になっています。
エネルギー大国・ロシアからのエネルギー関連の輸入が滞っていることも価格高騰の1つの要因です。
昨今の報道をみているとウクライナ情勢が主原因のように感じてしまうかもしれませんが、これはあくまでも1つの原因に過ぎません。
主原因は需要と供給バランスの崩れだと思いますよ。
現在のガソリン価格高騰対策はどうなってるの?
最後にガソリン価格高騰に対する現在の政府の対策についてみていきましょう(2022年4月初旬現在の対策です)
元売り業者に補助金最大25円
政府は現在、ガソリン価格を172円/ℓ程度に抑えようということで、石油の元売り業者に最大で25円/ℓの補助金を支給する政策をとっています。
最大25円という金額は恐らく暫定税率の金額を適用しているのだと思われますが、暫定税率との違いは販売価格ではなく元売りへの補助金であることですね。
元売りに補助金を出したところで、その金額がそのまま販売価格に反映されるわけではありません。
批判も大きい政策ではあり、野党の一部や与党内からもトリガー条項凍結解除を求める声が上がっています。
ですが、今のところトリガー条項凍結解除の動きはありません。
トリガー条項凍結解除されない理由その1:税収が減る
トリガー条項凍結解除されない大きな理由が、税収が減ってしまうからではないかと思います。
暫定税率を一時的に廃止した場合、国と地方合わせて1.57兆円の税収が減ってしまうそうです。
『税収が減る=その分の補填をしなければいけなくなる』ので、政府としては慎重な姿勢のようですね。
国家予算で考えた場合、1.57兆円くらいどうとでもなると思うのは私だけでしょうか。。。
トリガー条項凍結解除されない理由その2:法改正が必要
現在凍結されているガソリンのトリガー条項凍結を解除するためには法改正が必要になります。
凍結解除のための法改正が必要ということは、再び凍結する時にも法改正が必要になっってしまいます。
コロナ禍や世界情勢が次々に変わっていく中で、期間を定めた法改正もしにくいんですよね。(◯年◯月までは凍結解除的な改正はやりづらい)
ガソリンのトリガー凍結解除のためにいちいち法改正案を作り国会で審議して通すのは面倒というか、機動的ではないってことなのかなと思います。
この2つ以外にも買い控えとか色々理由は言われていますけど、残念ながら今のところは補助金政策で何とかしたいって感じでしょうか。
物流業者や地方に住んでる人達にとっては重要な問題であるガソリン価格。
物流コストが上がれば物の値段にも影響してきますので、車を運転しないからと言って無関係でもないと思います。
このまま高騰をし続ける懸念もありますが、せめて150円くらいには下がってほしいなと個人的には思いますね〜
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